「マンションの外壁塗装を貼り替えたいけど工事によるクレームが心配、工事にいくらかかるか知りたい」、このようなお悩みはありませんか。外壁塗装のメンテナンスは、入居者にとってもさまざまなメリットがあります。本記事では、マンションの外壁塗装を行うことによるメリット・デメリット、工事費用を抑えるポイントなどを解説します。
マンションは12年を目安に外壁塗装のメンテナンスを行う マンションの外壁塗装を行うと、資産価値を維持できる 工事は助成金により、費用を抑えることができる | 【この記事を読んでわかること】
マンションの外壁塗装をメンテナンスする目安

マンションの外壁にカビが発生した場合、まずは日常の掃除で対処する方法を検討する人も少なくありません。 ただし、カビが頻繁に発生したり、クラック(ひび割れ)やストレスなど外壁が劣化している様子が見られたりするなら、根本的な対策として「マンション外壁塗装」のメンテナンスを検討する必要があります。
マンションの外壁塗装をメンテナンスする目安としては以下の2つがあります。
【メンテナンス目安】
- 大規模修繕工事の目安
- 劣化状態による目安
順に解説します。
大規模修繕工事の目安
大規模修繕工事は12年に1度を目安に行いましょう。国土交通省によると、マンションの修繕工事の受注を行った会社200社への調査の結果、平均12年に1度の修繕を行っていることが確認できました。新築の場合15年、2回目工事の場合14年、3回目工事の場合12年に1度の周期で工事を行っています。結果をまとめた表が以下です。
大規模修繕工事回数 | 修繕周期平均値 | 修繕周期が12年~15年のサンプル割合 |
1回目 | 15.6年 | 63.4% |
2回目 | 14.0年 | 63.30% |
3回目 | 12.9年 | 66.1% |
あくまで平均の目安ですが、上記年数に該当した場合は工事の検討を行いましょう。
参照元:国土交通省ガイドライン
劣化状態による目安
大規模修繕工事のタイミングとは別に、外壁の劣化状態によって外壁塗装を検討することも大切です。以下のような症状が見られたら、早めに専門業者へご相談ください。
【外壁劣化のサイン】
- チョーキング現象
- カビ・苔・藻の繁殖
- 外壁のひび割れ(クラック)
- 塗膜の膨張や剥離
これらの症状は経年劣化以外にも、施工不良や適切なメンテナンス不足が原因の場合もあります。
マンションの外壁塗装を行うメリット

カビ対策の観点でも、汚れやすい環境をリセットする効果があり、特に防カビ・防藻性能を持つ塗料を選べば再発リスクを軽減することが可能です。 さらに、マンション特有の悩みとして空き家の増加や資産価値の低下も挙げられますが、外壁塗装を適切に行うことでそれらの課題を解消できる場合があります。
外壁の定期的な塗装には、以下の3つがあげられます。
【外壁塗装のメリット】
- 空き家率の改善
- 資産価値の維持
- 遮熱効果の付与
順に解説します。
空き家率の改善
マンション全体の外観が劣化すると、どうしても見た目の印象が大きくなり、入居希望者や購入希望者が敬遠しがちになります。 結果として空き部屋が増え、管理費が集まらないというスパイラルに陥ることに繋がります。 外壁塗装を行うことで、建物の美観を回復しながら、管理の行き届いたマンションである印象を与えることもできるでしょう。
資産価値の維持
マンションは築年数が経過するとともに資産価値が低下傾向にあります。しかし、定期的なメンテナンスを実施して建物の耐久性と美観を維持することで、価値の低下を低減することが可能です。 特に中古マンションが売買される際には、修繕履歴や管理状態が重要な査定ポイントになるため、長期的な視点で考えれば、外壁塗装を行い、劣化による大きなトラブルを避けやすいことも資産価値維持には有利でしょう。
遮熱効果の付与
外壁に遮熱塗料を採用すると、日射による室内温度の上昇を軽減でき、エアコンの使用頻度や電気代を集中することにもつながります。特に、外壁のカビが発生しやすい理由の一つに湿気が挙げられますが、遮熱塗料による温度差の軽減で建物内部の結露を抑えられるケースも考えられ、結果的にカビ対策にも当面する可能性があります。
マンションの外壁塗装を行うデメリット

上記メリットがある反面、外壁塗装を行うデメリットは以下の3つがあげられます。
【外壁塗装を行うデメリット】
- 臭気が発生する
- 塗装中はベランダに洗濯物が干せなくなる
- 足場設営時に騒音トラブルが起こる
順に説明します。
臭気が発生する
塗料によっては特有の揮発性有機化合物を含むため、工事中に独特の臭いが発生する場合があります。
臭気を最小限に抑える方法としては、窓の屋外時間帯を工夫する、換気扇をこまめに捨てる、部屋の隙間をテープでふさぐなどの対策が挙げられます。
塗装中はベランダに洗濯物が干せなくなる
マンションの外壁塗装では、ベランダ面の塗装も行うことが一般的です。 そのため、工事期間中は塗料の飛散や足場の設置などを理由に、ベランダを使用できないケースがあります。工事期間中に物を置いていると作業の中断になったり、塗料が付着したりする可能性があるため、ベランダに設置している物干し台や植木鉢などは一時的に室内へ移動させることが推奨されます。管理組合や施工業者からの事前説明をよく確認し、スケジュールを把握しておきましょう。
足場設営時に騒音トラブルが起こる
マンションの外壁塗装では、ほぼ必ずと言っていいほど足場を設置します。 足場設備営業時や解体時には金属がぶつかり響きやすく、住民からクレームが出ることもあります。 特に在宅している方や夜勤の方などは騒音ストレスを受けやすいため、作業時間帯の調整や周知徹底が重要です。
不快は塗装作業そのものよりも、足場設置・放棄や高圧洗浄の際に大きくなりやすい傾向にあります。 管理組合が本体となり、作業開始時間や終了時間を厳守するよう施工業者に依頼したり、住民向けに事前の説明会を開いたりすることで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
マンションの外壁塗装にかかる工事期間

マンションの外壁塗装に適切な工事期間は、建物の規模や工法、状況などによって左右されますが、一般的には2週間〜1ヶ月程度が目安とされています。 大規模マンションであればさらに長期化する場合もあり、30戸規模以上だと1〜2ヶ月に及ぶことも少なくありません。
工事の主な流れは下記のとおりです。
【外壁塗装の工事の流れ】
- 足場の設置・養生(数日)
- 高圧洗浄(1〜2日)
- 下地補修(数日)
- 下塗り・中塗り・上塗り(1〜2週間)
- 足場解体・最終チェック(数日)
季節が雨や台風などに見舞われると、安全面や仕上がりの品質を考慮して作業がストップすることがあります。また、施工ピーク時(春・秋)は業者のスケジュールが埋まりやすいため、余裕を持った工程管理が必要です。
マンションの外壁塗装にかかる費用相場

マンションの外壁塗装費用は、1㎡あたり2,000〜5,000円程度が一つの目安とされています。 なお、建物の高さや足場の組み方、使用する塗料の種類や質によって大きく変動します。たとえば、30戸程度の中規模マンションであれば、数百万円〜1,000万円前後の予算を組むことが多いです。
外壁塗装の費用に影響のある指標は以下の4つです。
【外壁塗装の費用に影響のある指標】
- 使用塗料のグレード:シリコン、フッ素、無機塗料、遮熱塗料など
- 下地補修の量:クラックの数や大きさ、コンクリートの剥離状態など
- 共用部分の区域:廊下や階段、エントランスの天井なども含むか
- 足場費用:高層階や特殊構造の場合は費用が上乗せされる
マンションの外壁塗装の費用を抑えるポイント

上記のように、外壁塗装は多額の費用がかかります。しかし、以下2つの方法により費用を抑えることが可能です。
【工事費用を抑えるポイント】
- 助成金制度を活用する
- 汚れにくい塗料の色を選ぶ
順に解説します。
助成金制度を活用する
自治体によっては外壁塗装や塗装を対象とした補助金・助成金制度を実施していることがあります。 例えば、遮熱塗料を使用した塗装工事に一定額の補助金を交付する自治体や、木造住宅・中小規模建築物へのメンテナンス補助制度を運用している自治体など、地域によってさまざまです。 マンションの外壁塗装にも適用される場合があるため、まずは住んでいる自治体のホームページを確認して、要件や方法を調べてみましょう。
汚れにくい塗料の色を選ぶ
外壁塗装の目的の一つに、見た目の美しさを維持するという点があります。 汚れが目立ちにくい色を選ぶと、将来的な再塗装までのスパンを少しでも長く保てる可能性があります。 具体的には、グレーやベージュ、淡いブラウン系などの汚れやカビの汚れが目立ちにくい色合いです。さらに、汚れを雨水で洗浄してくれる低汚染型塗料や、防カビ・防藻性能が高い塗料も市販されていますす。少し塗料は初期費用がやや高くなる場合もありますが、長い目で見れば清掃や再塗装の頻度を下げられるため、結果的にコスト削減につながることも少なくありません。
まとめ
本記事では、外壁塗装を工事するメリット・デメリットや費用を抑えるポイントなどについて解説しました。マンションの外壁塗装をメンテンナンスすることは、外観の整備だけでなく、空き家率の改善や修繕工事の期間の短縮、工事費用を抑えるメリットがあります。
マンションの外壁塗装の劣化を見過ごさず、施工を依頼しましょう。