漆喰はやわらかい風合いや色合いで多くの家庭で親しまれています。しかし、長く使用していると手垢やカビ、黒ずみなどの汚れが目立ちますよね。
適切に処理をしないと、見た目の問題だけでなく、壁を傷つけてしまう原因にも繋がる恐れがあります。
本記事では、漆喰壁のメリット・デメリットや漆喰壁の汚れの取り方などを紹介します。
【この記事を読んでわかること】
- 漆喰壁は、耐熱性のメリットに優れ、ひび割れ等のデメリットがある
- 漆喰の汚れは、消しゴム・キッチンハイター・中性洗剤などで落とせる
- 油汚れ、かすりキズなど、汚れ落としはものを使い分けることが大切
漆喰とは

漆喰とは、消石灰を主成分とする塗り壁材の種類です。 消石灰は石灰石を焼成した生石灰に水を加えて作られ、これにサ(麻などの繊維)や海藻のりなどを加えて、継続気や硬化特性を高めて壁材として利用します。 漆喰は古いから日本建築に使われており、城郭や土蔵の外壁など白い漆喰壁は伝統的な景観としても有名です。漆喰が古くから使われてきた理由として、その耐久性の高さと防火・防カビ効果があげられます。 日本のように湿度の高い気候でも、調湿作用によって室内環境を快適に選びやすい点が大きな魅力です。
漆喰の種類

漆喰にはさまざまな種類があり、目的や好みによって使い分けることが可能です。 同様に外壁に使用する場合は、雨水や日光に晒されるため、防水性や耐候性を考慮したものを選ぶと良いでしょう。 室内用なら、調湿効果やデザイン性を優先して調合漆喰やカラー漆喰を選ぶケースも多く注目されます。
漆喰の種類を以下に紹介します。
【漆喰の種類】
- 本漆喰
- 混合漆喰
- 樹脂入り漆喰
- カラー漆喰
漆喰のメリット

漆喰のメリットは以下のとおりです。
【漆喰のメリット】
- メンテナンスの手間がかからない
- 熱や火に強く燃えにくい
- 防音性に優れている
- 調湿効果がある
- 抗菌&消臭効果がある
順に解説します。
メンテナンスの手間がかからない
漆喰は、硬化すると高い耐久性を示し、少し美しさを保ちやすいのが特徴です。 ビニールクロスのように経年で剝が来る心配が少なく、塗り替えの周期も比較的長めです。 また、漆喰はカビや藻などの微生物が繁殖しにくい性質を持ち合わせているため、日常的に我慢な清掃を軽減しても、清潔感を保ちやすいというメリットがあります。
熱や火に強く燃えにくい
漆喰は不燃材に分類され、火災が発生した際にも広がりにくい性質があります。そのため、古くから耐火性を重視する城郭や土蔵などで広く採用されてきました。主成分が無機質であることから、耐火性に優れており、建築基準法でも不燃材料として認められ、火災時には有害なガスを発生する可能性が低いです。
防音性に優れている
漆喰壁は内部に無数の微細な穴があるため、音を吸収する効果が一定程度あります。 ビニールクロスやコンクリート打ちっ放しの壁と比較すると、防音性に優れているでしょう。
部屋全体が硬い素材で造られていると、足音や話し声が響いてしまうケースも少なくありませんが、漆喰壁にすることで生活音を抑え、快適な環境づくりに活かすことができます。
調湿効果がある
漆喰は水分が多い場合は吸収し、乾燥している瞬間に放出するという、調整機能を持ち合わせています。これにより、室内の湿度をある程度安定させ、結露やカビの発生を抑えられるのメリットがあります。空気がこもりがちな部屋でも、漆喰壁なら、ある程度快適な湿度の空間が保てるでしょう。
抗菌&消臭効果がある
漆喰の主成分である消石灰には強いアルカリ性があり、細菌やカビの繁殖を抑制する作用が認められています。また、においの元となるを中和する消臭効果成分があるため、ペットを飼っている家庭や飲食店などでもアンモニア臭などの不快な臭いを軽減する効果があります。
漆喰のデメリット

メリットが多い漆喰ですが、一方でデメリットも存在します。
【漆喰のデメリット】
- 時間と費用がかかる施工
- ひび割れの起きる可能性
- 防水性が弱い
順に解説します。
時間と費用がかかる施工
特に本漆喰を伝統的な手法で塗る場合は、下処理から何度も塗り工程を経て、しっかり乾燥・硬化させる必要があるため、相応の費用がかかるのが一般的です。DIYに調合漆喰や樹脂入り漆喰などが市販されていますが、やはり自力で仕上げるのは簡単ではありません。 施工コストの面でも、バイクロス貼りや一般的な塗料仕上げに比べ割高になる場合が多いです。
ひび割れの起きる可能性
漆喰は乾燥や建物の振動などによって、経年とともにひび割れが起こります。構造的な問題がない範囲のひび割れであれば生活に支障はないものの、美観を損なう原因となるため、気になる方もいるでしょう。完全にひび割れをゼロにすることは難しいですが、補修材を使って早めに塞ぐことで雨水や汚れの危険を防ぎ、二次的な耐久性を考慮することができます。
防水性が弱い
漆喰は一定の防水効果を持っているもの、コーティング系の塗料ほど強力な撥水力があるわけではありません。外壁や屋根など、万が一雨水にさらされる環境では、漆喰の表面が吸水して黒ずみやシミが発生しやすくなる可能性があります。特に屋根や軒天部分の漆喰は、雨漏りや内部腐食の原因を気にするためにも、定期的に点検しておくことが推奨されています。
漆喰の外壁汚れの落とし方8選

生活のふとした時についた漆喰の汚れは、気になりますよね。実は漆喰汚れは家庭にあるもので簡単に落とすことが可能です。汚れが目立たないうちに行いたいメンテナンス法を8選を早速ご紹介します。汚れの種類ごとに家にあるものでお掃除してみましょう。
【メンテナンス法8選】
- 黒ずみには消しゴム
- 油よごれにはキッチンハイター
- コーヒーやジュース汚れには中性洗剤
- かすりにはメラミンスポンジ
- 手垢にはサンドペーパー
- 表面汚れはカッターナイフ
- ホコリには掃除機・ホウキ
- 落としきれない汚れには塗り直し
順に解説します。
黒ずみには消しゴム
外や壁内壁が軽く黒ずんでいる程度であれば、消しゴムを使ってみると意外に簡単に落ちる場合があります。 特に、土埃や軽度の煤(すす)汚れに有効です。汚れの部分を優しく消しゴムでこすり、 ゆっくり粉を払い落とします。強く押しすぎると漆喰が減ったり、表面が毛羽立つことがあるため、時間をかけ丁寧に行うようにしましょう。
油よごれにはキッチンハイター
油汚れは料理や排気ガスなど、油分を含む物質が付着することがあります。台所の油汚れに使われるキッチンハイターを水で薄めた液を使えば、油分やカビの除去に効果を発揮します。柔らかい布やスポンジに含まれており、汚れ部分を軽く叩くように洗い、最後に水拭きや蒸留水拭きで完全に拭き上げます。
塩素系漂白剤、色抜けや仕上げ剤の売却を起こす可能性があるため、 目立たない部分でテストしてから本作業を行うのが無難です。
コーヒーやジュース汚れには中性洗剤
漆喰の部屋の壁にコーヒーやジュースが飛んでシミになってしまった場合は、中性洗剤を使う方法が比較的安全です。 キッチンの油汚れ用洗剤や台所用洗剤で可能ですが、アルカリ性や酸性が強いものは避けましょう。
かすりにはメラミンスポンジ
壁にすまれた跡やクレヨン汚れなど、表面がこすられてできたかすり汚れは、劇落ちくんなどのメラミンスポンジで落とせる場合があります。メラミンスポンジは繊細な研磨剤の役割を決めるため、軽い汚れを落とすのに適しています。
手垢にはサンドペーパー
ドアや周囲の壁スイッチあたりなど、手垢(皮脂汚れ)がこびりつき、黒ずんでしまうケースがほとんどありません。 一応汚れはサンドペーパーの軽い研磨によって落としやすいです。手順は、サンドペーパーで円を描くようにやさしく研磨し、研磨後に出た粉塵をブラシや掃除機などで吸い取りましょう。必要に応じて仕上げ用の漆喰補修材を塗布すれば補修完了です。
表面汚れはカッターナイフ
漆喰の塗膜が少し盛り上がって汚れが付着している場合など、表面を刃物で軽く削り取る方法もあります。 カッターナイフを使う際は、刃を浅く当てて少しずつ減らすのがポイントです。
削った後は表面がザラザラになることもありますので、必要に応じて補修材や筆塗りなどで仕上げましょう。
ホコリには掃除機・ホウキ
室内や軒の下の漆喰壁に溜まったホコリやクモの巣などは、掃除機やホウキを使って乾燥した状態で除去します。特に高い位置にある壁や天井付近はこまめにチェックしておくと、大きな汚れや黒ずみができる前に簡単に対処できることがあります。
落としきれない汚れには塗り直し
上記の方法を試しても落ちない頑固な汚れや全般的に色落ち・黒ずみがある場合は、最終手段として塗り直しを検討するのがベストです。DIYでの再塗装の場合、事前に調合の漆喰や補修パテを準備し、古い漆喰を剥がしてから新たに塗装します。汚れや劣化が及んでいる場合は、職人に施工を依頼するほうが確実で仕上がりが美しくなるでしょう。
まとめ
本記事では、漆喰のメリット・デメリットから漆喰壁についた汚れの落とし方を8選を紹介しました。漆喰は自然素材ならではの調湿効果や抗菌・消臭効果、そして高い耐火性など、壁以外の材には多くのメリットを備えています。
また、漆喰壁は汚れにくいとされる一方、一度固着してしまうと、落ちにくい汚れも存在します。消しゴム、キッチンハイターなど汚れの種類や状態に合わせて使い分けることで、漆喰の美観と機能をより長く感じられるようになります。
もし汚れが大規模に見られたり、クラックが多数見られたりする場合は、専門家による補修や再塗装を検討しましょう。