雨戸塗装のメリット・デメリットとは?ポイントや注意点を徹底解説

雨戸は防風や遮光の役目を果たす日本建築の象徴とも言えます。しかし長く住み続けていると、色あせやサビが気になる方も多いのではないでしょうか。放っておくと、劣化が進んで修繕費がかさむ可能性もあります。この記事では、雨戸塗装のやり方や注意点などについて詳しく解説します。

この記事を読んでわかること】

  • 雨戸を塗装するメリットは、耐久性を維持し、デメリットは費用がかかる
  • 塗料には、用途ごとに3種類存在する
  • 雨戸塗装は洗浄、養生、下地処理、塗装の手順で進める
目次

雨戸とは

雨戸とは、、住宅の窓やガラス戸の外側に取り付けられる戸のことです。冬の寒さを和らげ夏の日射を遮り、室内の温度を快適に保つ役割を果たします。材料としては、金属、木材、樹脂などが一般的です。日本特有の建築文化の一つでもあり、以下のような機能が期待できます。

【雨戸の機能】

  • 防風・防雨
  • 防犯性の向上
  • 断熱・遮光効果

台風や強風、大雨時に、室内への浸水回避や外気温の影響を和らげる機能を果たします。

雨戸の劣化症状

戸は常に外に気にさらされているため、紫外線や雨水、ホコリ、排気ガスなどからの被害を受けやすくなります。 経年とともに様々な劣化症状が出始めるため、下記のポイントに注目してこまめに点検を行いましょう。

【雨戸の劣化症状】

  • サビ・腐食
  • 色あせ・チョーキング
  • 売却・ひび割れ
  • 開閉不良

雨戸を塗装するメリット

雨戸を塗装することのメリットは以下2つです。

【塗装のメリット】

  • 耐久性の維持
  • 機能性の向上

順に解説します。

耐久性の維持

雨戸の材質に関わらず、定期的な塗り直しを行うことは、耐久性維持に関わる大きなポイントです。 特に金属製の場合は、サビ止めプライマーの使用や高品質な上塗り塗料を選ぶことで、サビの発生をより防ぐことができます。サビ止め塗料や防腐塗料、UVカット性能の高い塗料など住む地域や気候に合わせて雨戸塗装を行うことで、耐久年数が長くなり、長期的にコスト削減にもつながります。

機能性の向上

雨戸の塗装は、単純に美観の回復だけでなく、機能性向上にも繋がります。以下に機能性を表にまとめています。

効果メリット
遮熱効果遮熱塗料を選ぶと、太陽光を反射して雨戸や窓周辺の温度上昇を緩和する効果が期待できます。 夏場の室温を下げ、エアコンの使用量を節約できる場合もあります。
撥水・防汚効果雨水や汚れがつきにくい塗料を選ぶと、雨戸の表面をきれいな状態に保つことができます。
防音・遮音性塗膜が厚くなる分、外部からの騒音を聞こえにくくする効果が期待できます。 完全な防音とはいかないまでも、一部の塗料は音の伝達を軽減する特性を持ちます。
レールの滑り向上塗装の際にレール部分のサビや汚れを除去し、適切な塗装や潤滑剤を使用すると、雨戸の開閉がスムーズになる場合があります。

雨戸を塗装するデメリット

塗装 デメリット

雨戸を塗装することはメリットがある一方で、デメリットは以下の2つがあります。

【塗装のデメリット】

  • 費用がかかる
  • 天候に左右される

順を追って説明します。

費用がかかる

雨戸の塗装費用は、素材・枚数・大きさ・耐久状況などによって大きく変動します。自宅で複数枚の雨戸を一度に塗り替える場合、塗料代に加えて下地処理や養生、足場の設置が必要な場合もあり、総額が増えることが予想されます。

費用を抑えるポイントとして、外壁や屋根の塗装時期と合わせて雨戸塗装を依頼することで、足場代や施工費を一度にまとめられ相対的にコストを下げられる場合もあります。 タイミングを検討する際には、家全体のメンテナンス計画を考慮すると良いでしょう。

天候に左右される

屋外の作業全般に言えることですが、雨戸塗装も天候の影響を強く受けます。 雨や雪、強風、極寒の塗装環境下では、作業が中断や、塗料の乾燥不良や塗膜不良が起こりやすくなります。 作業期間が延びると人件費などの追加コストも発生する恐れがあるため、梅雨や冬季を避け、安定した天気が続く時期を選びましょう。

雨戸塗装の塗料タイプ

雨戸に使う塗料には用途別に以下の3つが挙げられます。

【塗装の用途】

  • 木材用塗料
  • 金属用塗料
  • コンクリート用塗料

順に解説します。

木材用塗料

木製の雨戸は、ナチュラルな風合いが魅力ですが、水分や紫外線の影響で腐食や反りが起こりやすいデメリットがあります。そのため、防腐・防水効果と紫外線カットに優れた塗料を選ぶことで、未然に防ぐことができます。以下には、塗料の種類とメリットを記載しています。

塗料効果
造膜タイプ(ウレタン塗料など)表面にしっかりと膜を形成し、雨水や汚れをブロックしやすいツヤ感や光沢が出やすく、見た目がきれいに仕上がる経年劣化により塗膜が割れると、再塗装時に古い塗膜の除去が必要
浸透タイプ(オイルステインなど)木目を相談した自然な風合いが楽しめる塗膜を作らないため、剥がれにくい、定期的な塗り足しが必要防腐剤や防虫剤が配合されているものを選ぶと、屋外使用でも比較的安心
防腐・防カビ剤入り塗料木材に発生しやすいカビや腐菌、シロアリ対策として特化した塗料乾燥や通気性を考慮しつつ、繰り返し塗り直しを行うことで寿命を延ばせる

木材用塗料を選ぶ際には、色合いやツヤの好み、メンテナンス頻度の範囲などを総合的に考慮することが大切です。

金属用塗料

金属製雨戸には、主にスチールやアルミが用いられる場合が多く見られます。特にスチールの場合は、サビ対策が塗装の最重要ポイントとなります。以下に金属用塗料の選択のポイントをまとめています。

塗料ポイント
サビ止めプライマー(下塗り)鉄製雨戸にはサビ止め成分の入ったプライマーを塗布してから上塗りを行うのが基本です。しっかりとした下処理が剥離やサビ再発を防ぐカギです。
ウレタン塗料・シリコン塗料・フッ素塗料ウレタン塗料:施工しやすい価格も手頃だが、耐久年数はやや短めシリコン塗料:耐候性に優れ、コストパフォーマンスに優れた定番選択フッ素塗料:価格が高いですが、最も耐久性が高く、一瞬美観と防水性を保っている
アルミ雨戸アルミは錆びにくい、表面に傷や酸化膜が起こる場合があるので、専用の忠実プライマーを使うと仕上がりが安定しやすい

コンクリート用塗料

コンクリート面は吸水性が高い場合があるため、プライマーで吸水性を抑制し、上塗り材を薄めすぎないことがポイントです。雨戸BOXや戸袋部分がコンクリートで構成されている場合もあります。以下にコンクリート塗料の選択のポイントをまとめています。

塗料ポイント
ひび割れ(クラック)の補修コンクリートは経年でクラックが入りやすいです。塗装前に、シーリング材や補修モルタルでしっかり保管することが大切
コンクリート専用プライマージン地面との密着力を高め、防水効果をアップさせる下塗り材を使用すると塗膜の持ちがよくなる
外壁用上塗り塗料アクリル系、シリコン系、フッ素系などの外壁用塗料で仕上げるのが一般的です。周囲の外壁と色調を合わせることで統一感が出る

雨戸塗装の価格

実際の塗装作業にかかる金額として、以下の2つがあります。

【塗装作業のケース】

  • 業者に依頼する場合
  • 自分で塗装する場合

順に解説します。

業者に依頼する場合

木製雨戸は1枚あたり5,000円〜15,000円程度、金属製雨戸は1枚あたり6,000円〜20,000円程度です。また塗料種類や作業難易度、業者の料金体系により追加で費用がかかる場合があります。具体的な料金は複数業者に見積もりを依頼して比較することをおすすめします。

外壁と同時に塗装の依頼をすると、足場を組む設備費用が1回分で済みます。外壁の劣化も雨戸とタイミングがほぼ同じのため、あわせて依頼を行い節約をしましょう。

自分で塗装する場合

自分での作業は人件費がかからないため、塗料代と道具代のみで済みます。塗料は1リットルあたり1,000円〜5,000円程度となり、塗装の厚さや重ね塗りの回数によってかわってきます。

雨戸塗装の施工手法

施工 手順

広い面積を塗装するにはローラー工法がよいでしょう。手軽で素早く塗装ができ、時間が短縮できます。仕上がりを重視するなら、スプレーによる吹き付け工法がおすすめです。均一に塗料を吹きかけることができるため、ムラがなく複雑な形状にも対応可能です。スプレーには技術が必要であるため、初めて使用する場合には慣れが必要になります。

雨戸塗装の施工手順

施工の手順は、以下4つの流れがあります。

【施工手順】

  • 洗浄
  • 養生
  • 下地処理 
  • 塗装

順に解説します。

洗浄

雨戸全体の材質や状態を確認し、高圧洗浄やブラシを使って表面の汚れ、ホコリを落とします。サビやコケ、カビなどが付着している場合は、専門薬剤で除去することもあるでしょう。

養生

塗料が飛散しないよう、周囲の壁やサッシ、床などをビニールシートやマスキングテープでカバーします。養生の丁寧さが施工後の仕上がりに大きく影響する部分です。

下地処理

サビや防腐剤入りのプライマーを塗布し、素材との密着性を向上させます。アルミの場合はアルミ用プライマーを使用しましょう。

塗装

選定した塗料を刷毛・ローラー・スプレーなどで塗布します。一度塗るだけではムラや塗膜の薄さが目立つため、2〜3回重ね塗りするのが基本です。各塗り工程ごとに十分な乾燥時間を確保しましょう。

雨戸塗装の注意点

塗装 注意

最後に雨戸塗装で覚えておきたい注意点は以下2つが挙げられます。

【塗装の注意点】

  • 塗装不要な素材
  • 劣化が進んでいる場合は交換を依頼

順に解説します。

塗装不要な素材

アルミやステンレスといったサビに強い合金製の雨戸の場合、表面に特殊な加工が施されていることがあり、塗装が必要でない場合があります。

劣化が進んでいる場合は交換を依頼

雨戸があまりにも劣化している場合は塗装では対処しなければならない場合があります。交換を検討すべき症状は以下の3つがあげれあれます。

【交換を検討すべき症状】

  • 雨戸の骨格部分が変形している
  • 素材自体がボロボロになって粉砕しそうな状態
  • 開閉が全くできないほどダメージが激しい

交換を検討したほうが安全で長期的なメリットが得られる場合もあります。 リフォーム会社や専門業者に相談して、交換と塗装のどちらが最適か判断してもらうとよいでしょう。

まとめ

雨戸は外気にさらされるため、塗装を行うことは耐久性や美観を保つ上で重要な作業です。雨戸の種類や形状にあわせて適した塗料や方法を選び、快適な暮らしを維持していきましょう。

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