サイディングボードとは?種類や特徴を徹底解説

サイディングボードは、現在の日本で広く使用されている外壁材です。しかし、その種類や適切なメンテナンスの頻度については、よく知らない人も多いでしょう。この記事では、サイディングボードの基本知識、代表的なサイディングボードの種類、最適なサイディングボードの選び方などについて詳しく解説します。

目次

サイディングボードとは?

サイディングボードとは、家の外壁を構成するパネル型の外壁材のことを指します。外壁を作成する際に用いられ、工場で製造されたこれらのパネルを外壁に貼り付け、隙間をゴム状の建材で埋めることで完成します。

木目調やレンガ調、タイル柄、シンプルな白壁など、豊富なデザインバリエーションが揃っているため、住宅のデザインや雰囲気を好みに合わせてカスタマイズすることが可能です。このようなメリットから1990年代以降、外壁の仕上げとしてサイディングボードが主流になりました。

2022年3月時点では、住宅用建材としてのサイディングボードの使用率は89.1%に達しており、ほとんどの家の外壁はサイディングボードで仕上げられています。これにより、サイディングボードは現在の日本において主流の外壁材となっています。

代表的なサイディングボードの種類

サイディングボードは「窯業系」「木質系」「樹脂系」「金属系」の4種類に大別でき、それぞれ特徴が異なります。耐用年数やメンテナンス周期、機能などが異なるため、予算や求める機能に応じて最適なものを選ぶとよいでしょう。

窯業系サイディング

窯業系サイディングはセメントや木材繊維を主成分とし、外壁の約76.8%で使用されています。「窯(かま)」を用いて製造されるため「窯業系」と呼ばれます。

  • 費用相場(1m²あたり): 2,000円〜6,000円
  • 耐用年数: 20年〜40年
  • メンテナンス周期: 7年〜12年
  • 特徴:
    • 国内で最も普及している
    • コストパフォーマンスが良い
    • デザインとカラーバリエーションが豊富
    • 工事期間が短い
    • 耐震性・耐火性に優れている

窯業系サイディングのメリットは高い機能性です。セラミックや石を主成分としており、耐震性や耐火性に優れています。また組み立てが簡単で生産量が多く、導入コストが低いという特徴も持ちます。しかし熱を吸収しやすいため、直射日光を浴びると壁面が高温になることに注意が必要です。

木質系サイディング

木質系サイディングは、木材を主成分とし、樹脂コーティングを施して防火性を高めたボードです。

  • 費用(1m²あたり): 2,000円〜8,000円
  • 耐用年数: 15年〜30年
  • メンテナンス周期: 7年〜12年
  • 特徴:
    • 自然な木の風合いを楽しめる
    • 断熱性・遮音性が高い
    • 水に弱い
    • 防火性が低い

木質系サイディングの魅力は、自然な風合いと温かみです。重厚感や高級感を建物に与え、断熱性が高く、冬は暖かく、夏は涼しく保てます。しかし水分に弱く、定期的なメンテナンスが必要です。怠ると見た目が劣化し、火災リスクも増してしまいます。

樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは、塩化ビニール樹脂を主原料としたプラスチック製のボードです。国内ではあまり使われていませんが、北米では一般的なサイディングとなっております。

  • 費用(1m²あたり): 5,000円〜10,000円
  • 耐用年数: 25年〜30年
  • メンテナンス周期: 10年〜20年
  • 特徴:
    • 高い耐久性
    • 優れた耐水性
    • ひび割れしにくい
    • 国内での施工業者が少ない
    • デザインが少ない

樹脂系サイディングの特徴は、メンテナンスの手間が少ないことです。耐久性が高く変色しにくいため、維持費用が抑えられます。しかし国内での普及率が低く、施工業者が少ないため、施工費が高くなる可能性があります。またデザインの選択肢が限られている点も抑えておくと良いでしょう。

金属系サイディング

金属系サイディングはアルミニウムや鋼鉄、銅などの金属を使ったサイディングボードです。その強度と耐久性から、住宅だけでなく商業施設にも使用されます。

  • 費用(1m²あたり): 5,000円〜8,000円
  • 耐用年数: 20年〜40年
  • メンテナンス周期: 8年〜15年
  • 特徴:
    • 優れた断熱性・防水性
    • ひび割れしにくい
    • 凍結しにくい
    • サビが発生しやすい
    • デザインが少ない

金属系サイディングは耐久性が高く、水を含まないため腐食や虫害・凍害に強いという特徴を持ちます。また断熱材が使用されており、断熱効果も高いです。ただしサビが発生しやすいため、雨の多い地域や海が近い場所では注意が必要です。またデザインの選択肢が少ない点も欠点といえるでしょう。

サイディングボードを採用するメリット

窯業系や金属系などの種類に関わらず、サイディングボードには多くのメリットがあります。住宅を建てた後に後悔しないためには、外壁材の特徴をしっかり理解しておくことが重要です。ここでは費用や耐久性、デザインなどの観点からサイディングボードのメリットを解説します。

初期費用が安い

サイディングはモルタルやタイルなど他の外壁材に比べ、初期費用を抑えられるのが特徴です。工場で大量生産されるため、安価な商品が多く、取り付け工法もシンプルで施工費を低く抑えることができます。

素材の価格が安い

サイディング材そのものが他の外壁材よりも安価である点もメリットです。特に窯業系サイディングや金属系サイディングは比較的安価であり、費用を抑えたい方に人気があります。

デザイン性が高い

サイディングボードには、高いデザイン性があるということも特徴です。窯業系サイディングは特にデザインやカラーバリエーションが豊富で、住宅の外観を思い通りに仕上げることができます。金属系サイディングも近年ではデザイン展開が増えてきております。また木質系サイディングを使うことで、高級感のある外壁にすることも可能です。

防火性が高い

サイディングは防火性に優れており、その中でも特に窯業系サイディングと金属系サイディングはその防火性能が高く評価されています。これにより、住宅の安全性を高めることができます。

工期が短い

サイディング外壁の施工は板状のサイディング材を組み合わせて進めるため、モルタル外壁のようにコテを使って全面を塗る作業と比べて、工期が短く済むのがメリットです。これにより、施工の難易度が低く、工事のスピードが上がります。

サイディングボードはコストパフォーマンスの高さやデザインの豊富さ、防火性能の高さなど、多くの利点を持つため多くの住宅に採用されています。各種サイディングボードの特徴を理解し、最適な外壁材を選ぶことが重要です。

サイディングボードを採用するデメリット

サイディングボードには多くの利点がある一方で、いくつかのデメリットも存在します。以下にサイディングボードの主なデメリットについて説明します。

定期的なメンテナンスが必要

サイディングボードは他の外壁材に比べて定期的なメンテナンスが求められます。サイディング自体の寿命は20〜40年程度とされていますが、コーキング(シーリング)や釘などの接合部分が劣化するため、約10年ごとにメンテナンスが必要です。

デザインの選択肢に限りがある

サイディング外壁はレンガ風、タイル風、木目風など多様なデザインと豊富なカラーが揃っていますが、多くの住宅で採用されているため、外観に独自性を求める方には物足りないかもしれません。また素材が比較的安価であるため、職人の手作業による塗り壁や高級感のある外壁タイルと比較すると見劣りすることがあります。

つなぎ目が目立つ

サイディングボードは板状の素材を組み合わせて施工するため、板同士のつなぎ目が生じます。特に窯業系や金属系サイディングでは、コーキング(シーリング)部分が目立つことがあります。しかしタイル風のデザインなど、つなぎ目が目立たないタイプも選ぶことができます。

防水性能に欠ける

サイディング材そのものには防水性能がありません。そのため外壁材自体が問題なくても、塗装やコーキング(シーリング)の劣化によって雨水が浸入し、雨漏りの原因となることがあります。このためサイディングの施工時には防水処理を施すことが必要と言われております。

サイディングボードはコストパフォーマンスに優れ、デザインのバリエーションも豊富ですが、定期的なメンテナンスや防水対策が必要です。これらのデメリットを理解し適切なケアを行うことで、サイディングボードのメリットを最大限に活かすことができます。

サイディングボード選びのコツ

サイディングボードの種類が豊富で選択に迷う方も多いでしょう。重視したいポイントを明確にすることで、自分に最適なサイディングボードを見つけやすくなります。以下に選ぶ際の主要なポイントを詳しく説明します。

予算と耐用年数の確認

サイディングボードは素材によってコストや耐用年数が大きく異なります。選択肢が増えた現代では、予算に応じてさまざまな材質を選ぶことができます。事前に予算と期待する耐用年数をしっかりと把握しておきましょう。

デザインの優先事項を明確に

好みの外観に仕上げたい場合は、デザインとカラーの豊富な窯業系サイディングを検討してみてください。同じ素材でも、ストライプ、木目、タイル、レンガ、石、岩、幾何学模様など多様なデザインがあります。また光の反射で見え方が変わるためサンプルを手に取り、実際に太陽光の下で確認することをお勧めします。近くの展示場や施工済みの住宅を見るのも良い方法です。

価格を重視する場合

価格重視で選ぶ場合、比較的安価な窯業系サイディングが候補に挙がります。シンプルなデザインや人気のホワイト系、グレー系カラーを中心に探すと良いでしょう。高品質な基材や塗装を施した製品は高額になるため、メーカー選びも重要です。見積もりを依頼する際に予算を伝えておけば、プロが予算内で最適な外壁材を提案してくれるでしょう。

耐久性を重視する場合

耐久性やメンテナンスの手間を重視するなら、金属系サイディングがおすすめです。ただし、地域の気候条件に適した素材を選ぶことが大切です。湿気が多い地域ではセルフクリーニング機能のあるサイディング、塩害がある地域では金属系サイディングを避けるなど、地域特性に応じた選択が求められます。地元で実績のある工務店に相談すると良いでしょう。

保証とアフターケアの確認

施工後のアフターケアも重要です。施工後にどのような保証が提供されるか、不具合が発生した場合の対応方法についても事前に確認しておきましょう。

サイディングボードを選ぶ際には予算、耐用年数、デザインのこだわり、価格、耐久性、そして保証やアフターケアなどについてしっかりと確認することが大切です。これらのポイントを考慮して、自分の理想に最も合ったサイディングボードを見つけましょう。メーカーのホームページをチェックして最新の製品情報を入手し、最適な選択をしてください。

まとめ

本記事では

  • サイディングボードとは?
  • 代表的なサイディングボードの種類
  • サイディングボードを採用するメリット
  • サイディングボードを採用するデメリット
  • サイディングボード選びのコツ

について解説しました。サイディングボードはコストパフォーマンスに優れ、デザインのバリエーションも豊富です。選ぶ際には予算、耐用年数、デザイン、価格、耐久性、保証やアフターケアなどを考慮し、自分の理想に最も合ったサイディングボードを選びましょう。サイディングボードを選ぶ際の参考になりましたら幸いです。

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